どんなに気をつけても揚げ足をとる奴はいるので、時には開き直ることも重要であること。
反社会的勢力を相手にするときの心構えを、しばしば会社からレクチャーされる。そのなかの一つに、「迂闊な一言は絶対に言うな」というものがある。なぜなら彼らはこちらの言葉の隙を狙い常に揚げ足をとる機会を狙っているのだから。ゆえに、発言には慎重であらねばならない、という。
これ自体に異論はない。反社会的勢力の手口を書いた本にも、そのようにある。以下は、住吉会最高顧問浜本政吉氏についての記述。
よくいわれる浜本の掛けあいの凄みを、元側近はこう証言する。「そりゃ、ひと言ひと言が勝負の世界ですからね。こっちが三分で向こうが七分くらいの有利で来る場面でも、浜本はまず向こうの話をジイッと聞いてます。ひと言間違った言葉を吐いたら、そこでバーンといくんです。そうすると五分五分になります。そのうちに立場が反対になっています。
『ヤクザに学ぶ交渉術』(pp13-14)
しかし、ここで留意しておきたいのが、どんなに気をつけたとて、彼らは絶対といっていいほどイチャモンをつけてくるのである。なぜなら、浜本政吉氏の記述にあるように、それが作戦だから。些細なことに言いがかりをつけてきて、さもこちらに非があるようにやり込めてくるのが手口。慎重になりすぎて貝になる戦法をとったとしても、彼らは逆に「何でさっき言えとったことが言われへんねんワレ!」「会社の公開資料に書いてあることが、なんで言われへんねんなめとんかボケっ!!」と、こうくる。
したがって(無論、迂闊な一言を話さないに限るが、)もしうっかり放言してしまっても、「だから、なんですのん?」くらいの開き直りがほしいところ。
反社会的勢力相手に、雑な対応をしてはいけないが、だからといって、こちらに絶対的な無謬性が課せられるわけでなし、イチャモンをつけられた時は開き直ることも大事だと思う。
それくらいでないと「間違えてしまった……!」「どうしよう……!」という気持ちの負い目が生じ、彼らはそこにズケズケとつけ込んでくるのである。
だから、こう言いたい。開き直ることこそ肝要と。