俗物による自戒ノート。

特に、ままならぬ仕事、毒親からのストレス、神経質な妻そして愛しい子どもについて。

自己啓発書としての『人口論』

人口論』は、人口増加が食物増加が上回りそれが貧困などを生むことを説いた人口学の古典的名著である。たしか高校の地理の授業でも名前だけは出ていたはず。

 

さて学生時代にこの本を読んだときに感銘を受けたのは、「なぜ神はそのように(人口増加>食料増加)世の中を作り給うたか?」という考察をしているところだった。(非キリスト者であり当時は全く宗教に関する知識もなかった自分にはそもそも「なぜ神はそのように世の中を作り給うたか?」という発想が存在し得ることすら衝撃的であった。)

 

食物がどんどん増える仕組みであれば人間は苦労せずにすむ。それが良い世の中ではないのか。なのになぜ、神はそうしなかったのか。

 

マルサスの答えは、能力を開花させるためあえて人間を頑張らざるを得ない環境に置いているというものだ。

 

こうして、刺激を休むことなく与え続けるために、また、人間に土地をすっかり耕せて、人間を慈悲深い神の計らいにますます寄り添わせるために、神は、人口が食物よりも速く増加するように定めた。(p259)

 

なるほど、人口増加の法則はさまざまな問題を引き起こすけれども、それはじつは神の全体的な目的を阻害するものではなく、むしろ促進するものなのだ。それはたしかにそうだろう。人間をあらゆる方面で努力するように刺激するし、全体として精神の成長を促すような場面や印象を、さまざまな形で無限につくりだすからである。(p263)

 

なるほどそういう考えもあるのかと、当時は衝撃を受けたものだ。この考えは、今でも役に立っている。仕事で辛い局面に遭遇したときは、この一文を思い浮かべるようにしている。いささかマッチョな思想ではあるが、こうでも考えないと理不尽や世の中を生きていくことはできぬ。

 

そして、よくいわれるとおり、人間はいままで出会ったことのない異常な事態にまきこまれると、それと取り組むのにふさわしい精神力ができていくものなのである。(p266)

 

 

人口論 (光文社古典新訳文庫)

人口論 (光文社古典新訳文庫)