娘は鼠のぬいぐるみが苦手
歯磨きや着替えを嫌がる時は「鼠さんが来るよ!」と言えば一発である。
理想的なのは、歯磨きをしないことによるデメリット(虫歯のリスク)や着替えないことによるデメリット(風邪をひく、不衛生)を説明して、納得させたうえで自発的に行動させることだろうが、1歳なので、まだ理屈だけでは動かない。
そういうときに、「鼠のぬいぐるみ」の存在は重宝する。子供にとっては「理屈」よりも「怖いもの」に因りて行動するのだ。
そういえば、何かの本で読んだが、太古の人間も赤子を諭すのに神や精霊を用いたという。逆に、神や精霊を恐れない特性を持つ赤子は、親の助言を受け入れることなく、生命を落としてしまう傾向にあった。ゆえに、神や精霊を信じる個体が生き残るような淘汰圧がかかった。これが、人間社会から宗教がなくならない理由のひとつである……そういう内容だったか。たしか、フランス・ドゥ・ヴァールの『道徳性の起源』。
当時はそんなもんかと流し読んだが、実際、子育てして思う。理屈だけで子供を動かすのは不可能だ。といって手をあげるのは論外。子供のさせたいようにさせるというのもまた論外。ゆえに、「怖いものの存在」を用いるというのは、一定理に適ったことである。(それが宗教論に繋がるというのも、なんとなくわかる)
- 作者: フランスドゥ・ヴァール,Frans de Waal,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2014/11/28
- メディア: 単行本
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