俗物による自戒ノート。

家庭と仕事の反省点

不動産、賃貸か購入かを巡る雑な考察。

公認会計士の立場としての私の結論から言えば、「買う」ほうが今はトク、である(p44)

その考察過程は以下のとおり。

①賃貸の場合
・無駄金の合計=30年間で3000万円
毎月家賃8万円×12.5か月×30年の計算。条件として2年更新で年間0.5か月分の家賃を含む

②購入の場合
・無駄金の合計=30年間で合計951万円

利息1%(固定)で3000万円を借り、30年利払いで計算した利息が473万円。条件として不動産取得税や仲介手数料など、買う際の諸費用として1割にあたる300万円。さらに固定資産税と都市計画税が30年分として178万円(3000万円×0.7×1/6×1.7%×30年=178万円)

差は2049万円となった。賃貸のほうが、はるかに無駄金が大きくなることが分かる。なお修繕費は、さらに次の30年後に対して効果が及ぶ支出なのでここでは考慮していない。また「元本3000万円の支払いが入っていない」とおっしゃる方がいるかもしれない。しかし3000万円の現金については、3000万円分の所有権に交換しただけであり、購入者から見て、無駄金と呼ぶべき性質ではないだろう。(p45-46)

いかにも公認会計士らしい計算である。

しかし看過できない点がある。そもそも3000万円(利子抜き)もの負債を負うことに対する流動性低下リスクを軽視している。親の介護や自身の収入低下などによって生活レベルを変えなくてはいけなくなったときに対応できなくなるではないか。

その借金について、〈3000万円分の資産に変わっただけ〉というのが、いかにも公認会計士らしい「オタクの考え」である。(そもそも、3000万円で購入した不動産を、3000万円の現金に換えることがいかに困難なのかは、この本でも説かれている通りではないか。)

不確実性を増す時代、不動産などという流動性の低い資産を持つことのリスクは、意思決定において加味すべきものである。〈3000万円の現金については、3000万円分の所有権に交換しただけ〉などという認識では、ブラックスワンと出くわした際に嘆くことになるだろう。